概要
高校生の野球選手、特にピッチャーやスラッガーにおいて、まれではあるものの「第一肋骨(首の下にある一番上の肋骨)」が疲労によって骨折するケースがあります。
バットスイングやピッチング動作による繰り返しの負荷が原因で発症し、肩の後ろや肩甲骨周辺の痛みとして現れます。
どういった選手に起きるのか?
- 年齢:13~25歳(平均16.8歳)
- 多くは男子高校生の野球部員
- ピッチャー/外野手/内野手を問わず発症
- 利き腕側に出ることが多いが、バッターでは反対側もある
- 投げる・打つ動作が強い選手ほどリスクが高い
どんな症状が出る?
- 肩の後ろ、肩甲骨まわりの痛み
- 投げたりスイングしたときに急に痛みが出る
- 痛みで深呼吸がつらくなることもある
- 一見、肩の筋肉痛や捻挫に似ており見逃されやすい
診断のポイント
- 一般的な肩のレントゲンでは写らないことが多い
- 首のレントゲンやCT検査が必要になる場合がある
- 放っておくと骨がくっつかず、「胸郭出口症候群」という別の問題を起こすこともある
🛠治療と復帰の流れ
- 多くの選手は安静(保存療法)で自然に治る
- 骨がくっつくまでに平均7.5か月
- 痛みが引いて、投げても痛くなくなれば3〜4か月で練習復帰可能
- 約3割の選手で「骨がくっつかない(非癒合)」ことがあり、まれに手術が必要な場合も
実際の症例(論文データより)
- 対象:野球選手24名(ほとんどが高校生)
- 競技復帰までの期間:平均3.4か月
- 最も早い復帰例は0.9か月(約4週間)
- 遅い例では14か月かかった選手も
- 保存療法での復帰成功率は高いが、痛みの再発や再発症のケースも少数あり
現場指導で気をつけたいポイント
- 肩の後ろの痛みを「疲労」や「フォームの問題」と思い込まない
- 数日経っても痛みが引かないときは整形外科の受診を勧める
- 画像診断は首のレントゲン or CTが必要な場合があることを知っておく
- 復帰時期は「痛みが消えたからすぐ投げてOK」ではなく、段階的に負荷を上げることが重要
- 骨がくっついていない状態で無理をすると、症状の長期化や手術のリスクもある
まとめ
第一肋骨の疲労骨折はあまり知られていませんが、野球選手にとっては見逃してはいけない故障の一つです。
特に肩甲部の痛みが長引く選手がいれば、疑ってみる価値があります。
選手の将来を守るためにも、早期発見・適切な安静・段階的な復帰を意識して指導してください。
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