こんばんは、野球トレーナーの纐纈です。
今回は、日本スポーツ協会が示す「スポーツ活動中の熱中症予防指針」を分かりやすくまとめ、特に中学生・高校生の選手や保護者の皆さんに役立つ内容としてお届けします。
熱中症とは?:分類と主な原因
日本スポーツ協会では、「熱中症」を含む広い概念として「熱障害」を使っています。
分類は以下の通りです:
- 熱けいれん:汗によってナトリウムが不足し、筋肉がけいれんする
- 熱疲労 :脱水や疲労によって体調不良になる
- 熱中症 :全身に影響が出る重度な症状
高温・高湿・長時間の運動・水分不足などが重なることで発生し、命に関わることもあるため注意が必要です。
スポーツ時の熱中症予防5ヶ条
- 1. WBGT(暑さ指数)を確認しよう
こちら28℃以上は厳重警戒、31℃以上は原則運動禁止。
屋外・屋内ともにWBGTを使って判断しましょう。
こちらから確認できます。
ただし野球をプレーする上では、正直WBGTに従っていたら野球をプレーすることは難しいので、個人で対策をする必要があります。 - 2. 通気性の良い服装を
帽子や速乾性素材のユニフォームを使用し、防具はこまめに外すなどして熱をこもらせない工夫を。 - 3. 体調が悪いときは無理をしない
睡眠不足、風邪、下痢などがある日は練習や試合を控える判断も重要です。 - 4. 水分と塩分をこまめに補給
30分おきに少しずつ、スポーツドリンク(0.1~0.2%の塩分)を摂取しましょう。 - 5. 初期症状を見逃さず、すぐ対応
めまいや吐き気、ふらつきなどの異変を感じたらすぐに冷却・休憩を。
WBGT(暑さ指数)ってなに?
WBGTとは、気温・湿度・輻射熱・風の影響を総合して「暑さの厳しさ」を示す指数です。
スポーツの現場では、以下のような基準で判断されます:
- 25~28℃:警戒(休憩と水分補給をこまめに)
- 28~31℃:厳重警戒(激しい運動は避ける)
- 31℃以上:運動原則中止
WBGT計がない場合は「湿度が高い日はひとつ上のランクで判断」するのがポイントです。こちらから確認できます。
身体を冷やす工夫も大切!
熱中症予防には、外から冷やす「外部冷却」と、体の中から冷やす「内部冷却」の両方が有効です。
- 外部冷却:凍ったペットボトルなどを両手で握る(投手はグローブ側のみなどの工夫は必要)
- 内部冷却:冷たい飲み物、氷やアイススラリー(シャーベット状飲料)を活用する
冷やしすぎはかえって逆効果になることもあるため、様子を見ながら調整しましょう。
水分・塩分補給のコツ
目安は「体重の2%以上減らないように」。
50kgの選手なら、1kg(=約1L)の水分を失うと危険サインです。
- 30分おきに少量ずつ飲む
- スポーツドリンクは塩分0.1~0.2%、糖質4~8%が理想
- 必要に応じて塩分タブレットや経口補水液も併用
暑さに慣れる「暑熱順化」も重要
急に暑くなった日は特に注意が必要です。
暑熱順化のためには、最初の1週間ほどは強度を落として運動を行い、徐々に慣らしていくことが推奨されています。
現時点で7月なので暑熱順化の時期は終えています。
5月から6月がそれに当たります。
熱中症のサインと応急処置
- 初期症状:めまい、吐き気、手足のしびれ、集中力の低下
- 中等度以上:脱力、頭痛、嘔吐、意識がもうろうとする
これらの症状が出たら、すぐに涼しい場所で休ませ、衣服をゆるめて冷却しましょう。
回復しない場合や意識がはっきりしない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
まとめ:安全に夏を乗り切るために
- WBGTを確認し、環境に応じた判断を
- 毎日の体調管理と体重チェックを習慣に
- こまめな水分・塩分補給で脱水予防
- 冷却方法を知って、素早く対処
- 無理せず、休む勇気も大切
選手自身の意識と、保護者のサポートがあれば、熱中症は予防できます。
この夏を元気に、安全に過ごすためにも、日々の準備を大切にしていきましょう!
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